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コンブの新しい利用技術開発の試み
─ 生鮮コンブの鮮度評価とその保持技術の開発研究 ─

北海道立工業技術センター(公益財団法人函館地域産業振興財団)
研究開発部 食品技術科 木下康宣

写真:加熱によるコンブ緑変の様子(北海道こんぶ研究会 川下氏提供)
写真:加熱によるコンブ緑変の様子
(北海道こんぶ研究会 川下氏提供)

コンブは古くより,我が国において様々な用途で利用されてきた。「続日本紀」や「延喜式」によると,奈良・平安時代には既に,現在の北海道や青森県から奈良・京都へと運ばれ利用されていたことが記されている。この頃を考えると,当然ながら冷蔵下での流通はあり得ない話であり,広域流通にはもっぱら乾燥品が利用されていたのだろうと思われる。しかしながら,コールドチェーンが発達した現在でも,コンブの流通主体は依然として乾燥品のままである。一方で,近年消費者嗜好が多様化しており,サラダ感覚を生かした生鮮藻類の流通が注目されたり,目新しい品質特性を有した商品が求められている。このことから,今後はコンブにおいても流通・商品形態の多様化が進むものと予想される。

コンブは,ワカメと同じ褐藻類に分類され,水揚げ時には褐色を呈している。しかし,その色調は加熱することによって鮮やかな緑色へと変化する(写真参照,以下この特性を加熱緑変能と表現する)。これが,生のコンブの最も大きな特徴の一つである。そして,この加熱緑変能は,収穫後の保存時間の経過に伴い,つまり鮮度の低下に伴って徐々に低下することが経験的に知られている。しかしながら,これまでにその評価法はもとより,その機能を保持する技術開発も試みられた例は見られない。そこで本研究では,マコンブ系コンブに分類されるホソメコンブを用いて,コンブの鮮度評価方法を確立し,次いでその保持技術の開発を検討した。

初めに,北海道久遠郡せたな町の株式会社三和建設で陸上養殖されたホソメコンブを用いて,収穫直後における加熱前後の藻体の反射スペクトルを測定した。その結果,加熱前の藻体の最大反射率は600nmに存在したが,加熱後は560nmへシフトすることが示された。そこで,保存中における560nm/600nmの反射率比を算出して追跡したところ,保存時間の経過に伴って徐々に減少することが分かった。これは,官能評価の結果と良く一致した傾向にあった。なお,この時の一般細菌数は保存期間を通して顕著な増加が認められなかった。これらのことから,非加熱のコンブでは,一般細菌数の増加に先だって加熱緑変能の低下が起こり,加熱後の藻体の560nm/600nmにおける反射率比を求めることによって,その鮮度を評価できることが明らかとなった(以下,この数値を緑変度と表現する)。次に,生鮮コンブの鮮度保持技術に関する研究を進めるため,高ガスバリア性の包装資材に未加熱の藻体と25~200倍量の海水を入れて500mlのN2ガス,Air,もしくはO2ガスを充填し,0~10°Cで保存した時の緑変度を測定した。そうしたところ,保存中の緑変度は,N2ガスやAirよりO2ガスを充填したものの方が,また保存温度が低いものの方が,高く保たれることが分かった。なおこの時も,一般細菌数は何れの試料でも顕著な増加が認められなかった。このことより,未加熱の生鮮コンブ藻体は,酸素濃度を高めて低温保存することにより,加熱緑変能を指標とした鮮度を保持できることが明らかとなった。

これらの研究の一部は,地域イノベーション戦略支援プログラム(文部科学省),地域イノベーション創出総合支援事業・ 地域ニーズ即応型(独立行政法人科学技術振興機構),産学官連携型クラスター整備事業(公益財団法人北海道科学技術総合振興センター)により行われたものである。ここに,記して感謝する。なお,これらの結果は,平成23年6月7~10日に東京ビッグサイトで開催されたFOOMA JAPAN 2011 アカデミックプラザおよび,平成23年7月9日に東京海洋大学で開催された日本応用藻類学会第10回大会にて発表した概要をまとめたものである。

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