最新トピック

ホームへHome > 最新トピック > 「学術情報」昆布の貯蔵および加工によるフコキサンチンの含有量変化について

トピック

「学術発表」昆布の貯蔵および加工によるフコキサンチンの含有量変化について

第65回日本栄養・食糧学会大会において発表
昆布に含まれる機能性成分「フコキサンチン」に関する研究

フジッコ株式会社

フコキサンチンは海藻の中でも昆布をはじめ、ワカメやヒジキなどの褐藻類のみに含まれる、色素成分(カロテノイド)のひとつで、これまでに生体内抗酸化作用や抗腫瘍作用のほか、脂肪の燃焼を促進させるなど様々な生理機能を持つことが報告されています。

一方、フコキサンチンは熱や光、酸素などに対して不安定であると言われていますが、加工による影響や、一般に市販されている昆布加工食品に含まれる量について詳細な検討が行われた例がありませんでした。 そこで北海道立工業技術センター(北海道函館市)との共同研究により、昆布に含まれるフコキサンチンの量について、収穫後直ちに冷凍処理した昆布を試料として、様々な条件で処理を行った場合の変化を調べました。 その結果、乾燥条件や、貯蔵中の温度、光、酸素加工処理などによってフコキサンチンの含有量が大きく変動することが分かりました。また、収穫後直ちに冷凍処理した昆布を用いて試作した佃煮では、乾燥原料を使用したものと比較してフコキサンチン量は比較的多く保たれました。

乾燥処理は、夏場の限られた時期に採れる昆布の優れた貯蔵方法ですが、近年では保存技術や輸送技術の発達によって冷凍品の利用も可能です。これまでの研究で、冷凍処理した昆布はアミノ酸や多糖類などの機能性成分を保持しやすいとともに、加工した場合、従来の乾燥昆布とは異なる新しい食感や照りの良い外観などの特徴が付加されることが分かっています。以上から、昆布の冷凍処理品は、乾燥原料とは異なる新しい昆布の原料としての展開が期待されます。

上記の結果を第65回日本栄養・食糧会大会(会期:2011年5月13日~5月15日、会場:お茶の水女子大学)において発表しました。なお、研究の一部は文部科学省・地域イノベーションクラスタープログラム(グローバル型)により行われたものです。

【発表の概要】
演題番号3I-09P『コンブの貯蔵および加工処理によるフコキサンチン含有量の変化』

【目的】
昆布の脂溶性成分であるフコキサンチンについて貯蔵および加工における含有量の変化について検討した。

【方法】
試料は2010年に北海道函館市で採取された真昆布を用いた。収穫後直ちに冷凍し、試験に供するまで‐20℃で保存した後、以下の処理を行い、フコキサンチン含有量を高速液体クロマトグラフィーで分析した。
<試験1>試料を常温で解凍後、天日または乾燥機を用いて異なる温度条件(45,60,75および90℃)で乾燥させた。また、60℃で乾燥した試料の一部を、温度、光照射および酸素の有無が異なる条件で4週間保存した。
<試験2>定法に従って佃煮の調製を行い、加工中のフコキサンチン量の変化を調べた。
<試験3>市販されている昆布加工食品(佃煮、とろろ昆布、塩吹き昆布、酢昆布およびだし昆布)についてフコキサンチンの含有量を測定した。

【結果】
<試験1>乾燥処理によってフコキサンチンの含有量は低下した。天日乾燥した場合の残存率は比較的高く、機械乾燥の場合も45、60℃においては天日乾燥と同程度であったが、処理温度が75℃を超えると著しく減少した(図1)。乾燥後の貯蔵条件の検討では、高温で保管した場合の減少が大きく、また、酸素および光による減少が認められた。
<試験2>乾燥および冷凍試料を用いて佃煮の調製を行ったところ、いずれも加熱時間が長くなるほどフコキサンチン量の減少が認められたが、最終的な残存量は冷凍試料を用いた佃煮が多かった(図2)。以上より、コンブの貯蔵、加工条件によってフコキサンチンの含有量が大きく変動することが分かった。
<試験3>市販の一般的な昆布加工食品のフコキサンチン量を測定したところ、100g当たり1mg未満のものが多かった。

図1

図2

  • 図1:昆布を異なる条件で乾燥したところ、天日乾燥や低温の機械乾燥では残存率が比較的低いが、乾燥温度が75℃を超えると著しく減少した。
  • 図2:佃煮の調味液を用いて昆布試料を同じ時間煮熟した場合、冷凍処理昆布は乾燥処理昆布の約1.5倍量のフコキサンチンが含まれていた(乾燥昆布の煮熟に要する120分の場合)。なお、冷凍処理昆布の軟化は早く、煮熟時間は90分で十分であり、製品としての含有量はさらに多くなる。

このページのトップへ戻る