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昆布にまつわる栄養機能のおはなし

生昆布(冷凍貯蔵)原料を使った佃煮の加工特性について

海辺で収穫された昆布は天日で干したり、あるいは機械にかけたりする方法で乾燥が行われています。乾燥処理は、夏場の限られた時期に採れる昆布の優れた貯蔵方法で、昆布の調理や加工方法も、古くから乾燥原料を使ったものが発展してきました。

その一方で、最近では保存技術や輸送技術が発達したことで冷凍原料の利用も可能になってきています。このような乾燥工程を介さない、いわゆる「生昆布」で佃煮を炊いた場合、従来の乾燥処理したコンブ原料とくらべて、どのような特徴や違いがあるのでしょうか?今回は冷凍貯蔵した生昆布の加工特性についてご紹介します。

抽出処理時の成分溶出量(100℃-10分)

まず、昆布に含まれている成分の溶出のしかたに違いがあるかどうかを調べました。とれたての昆布の原藻を使って、同じ部位を乾燥処理または冷凍処理した後、それぞれの昆布について熱水抽出を行い、固形分とエタノール析出物(主に多糖類)の量をくらべました。その結果、冷凍昆布は乾燥昆布よりも成分の溶出が少ないこと、また、抽出した後の昆布が乾きにくく、保水性も高いことがわかりました。

グルコースを注入したマウス結紮腸管内のグルコース残量

つぎに、それぞれの昆布を用いて佃煮に加工した後、レオメーターという測定装置を使って佃煮のかたさを測定しました。
その結果、冷凍昆布の佃煮を同じ条件で加工した場合には乾燥昆布と比較してかなりやわらかくなることがわかりました。また、測定した波形から乾燥昆布は表面部分が固いのに対して冷凍昆布佃煮の固さはほぼ均一であると考えられました。

官能評価においても冷凍原料を用いた佃煮は柔らかく、また、照りが強いという結果が得られています。さらに冷凍昆布では加工時の歩留りが乾燥昆布に比べて高く、厚みがあることから、調味液が保持されやすい特徴があることも明らかとなりました。

冷凍昆布の特徴(まとめ)

  • ・藻体内の成分が溶出しにくく、加工処理後の保水性が高い。
  • ・佃煮に加工すると物性が軟らかく、照りが良いといった特徴のある品質。
  • ・佃煮の歩留まりや厚みが乾燥原料を使った時に比べて高く、調味液を保持しやすい。

これらの結果より、乾燥処理では加工時に成分の溶出がしやすいのに対して、冷凍処理では比較的成分が保持されやすく膨潤して柔らかくなりやすいという特徴から、生昆布の新しい食品加工への応用が注目されています。この要因として、乾燥にともなう組織の変化が冷凍原料では小さく、多糖類の保水性がより高く保持されていることが考えられています。
一方で、乾燥原料には、固形分などの溶出量が多く、アミノ酸の溶出効率も高いことから、出汁としての評価が高いという特徴もあります。昆布の貯蔵方法が増えることで、応用面でも調理、加工など利用用途の幅が今まで以上に広がることが期待されます。

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